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昇り人形
ハッピープリンス
1993年作
鳥のテーマを考えているうちに生まれたのが、この「ハッピープリンス」という昇り人形です。オスカーワイルドの短編の、同名の童話に出てくるツバメのことを思い出したのです。王子の手にツバメを乗せたいと思いました。
王子が登場する昇り人形のデザインには「星の王子さま」があります。サンテグジュペリの同名の童話がもとになって作られた作品です。胸にハートをかかえた星の子、その上にまたがる東洋風なスタイルの王子、王子の両手につがいのツバメ、という昇り人形の構図が浮かんできて、この作品はふたつの童話がミックスされたものになりました。昇り人形のテーマは、逃げる、追う、空を飛ぶ、落ちる、ぶつかる、とび出す、といった動きのあるものがふさわしく、この作品では宇宙をかけめぐる王子や、ツバメの飛翔の動きが、二本の紐を操りながら楽しめます。
昇りつめた王子が下にすべり降りるとき、布のマントがひるがえります。二本の紐を下に張るように引いて、紐をたるませないように交互に下方へ引くと、木片はするすると上に昇って行きます。上に昇りつめた木片を下に降ろすには、紐を張るのではなくゆるめればよいのですが、この作品の場合、星の子と王子を先に下まですとんと降ろし、降りたら下の二つの球を下に引いて紐を張ると、4羽のツバメはゆっくりと舞うように、尾を振り振りおりてくるのです。
単に昇らせるだけでなく、いかに木片を降ろすか。最近作る昇り人形は、降ろし方に工夫を重ねています。

4羽のツバメはゆっくりと舞うように、尾を振り振りおりてきます。